
AIに福祉のBCPは”任せきり”にできない|うちの正解は経験で作る

皆さん、こんにちは。行政書士くまのみ法務事務所の松永浩行です。
最近、AIの話をする機会が増えました。福祉のBCP(業務継続計画)や避難計画の相談でも、講習でも。そのたびに、私は同じことをお伝えしています。「AIは、もう強みになりません」と。今日は、就労継続支援B型・グループホームのBCPや避難計画に、AIをどう使うか——正確には、AIに”任せきり”にしてはいけない部分はどこかを、正直にお話しします。
「AIを使っています」は、もう強みになりません
1年前なら、「AIでBCPを作ります」は目新しかったかもしれません。でも、これからは違います。AIは、電気や水と同じ、インフラになるからです。誰もが当たり前に使うようになれば、「AIを使っています」という言葉は、すぐに横並びになります。
だから、AIそのものは強みになりません。差がつくのは、AIの外側——そのAIに”何をさせるか”を決める判断の方です。
AIに福祉のBCPを”任せきり”にすると、なぜ運営指導で通らないのか
AIに「グループホームのBCPを作って」と頼むと、それらしいものが出てきます。避難の手順があり、連絡体制があり、役割分担の表もある。読むと、もっともらしい。ところが、これは平均点の一般解であって、その施設のものではありません。
福祉の現場は、施設ごとに本当に違います。施設が100あれば、防災も100通り。 自力で階段を降りられる方と、そうでない方。夜勤が一人になる時間帯。利用者さんの特性は、ひとつとして同じ施設がない。なのに、ネットで拾ったひな形や、AIの一般解をそのまま使う。これでは、いざというとき動きません。
運営指導で見られるのも、「計画書があるか」だけではありません。研修や訓練を実際に行った記録まで確認されます。そして、分厚いだけで実態の伴わない計画は、記録と現場が食い違ったところから見抜かれやすい——これは、長く書類を審査する側にいた人間としての実感です。中身の伴わない計画が通用しない構図は、ひな形BCPが運営指導で通らない理由でも書いたとおりです。
大事なのは「何をさせるか」と「答えを疑う力」
私は大学院(MBA)でマーケティングとAI等を学んでいますが、そこで痛感することがあります。AIに、マーケティングを”させて”はいけない。 聞けば、きれいで一般的な答えは返ってくる。けれど、会社が100あれば、マーケティングも100通り。ひとつとして同じではないからです。
BCPも、まったく同じ構図です。だから、AIを使ううえで大事なのは2つ。
1つは、AIに”何をさせるか”を正しく決めること。プロンプトの細かい書き方ではなく、どこに、何のために向けるか、という構想です。
もう1つが、いちばん大事で、AIの答えに疑問を持てる力です。「これは、本当にうちの施設に当てはまるのか?」と、一度立ち止まれるかどうか。AIは、もっともらしく間違えます。鵜呑みにすれば平均に飲まれ、疑える人が使えば強い道具になる。その差を生むのが、知識と経験です。
私がAIを使う原点|30年の経験を、プロンプトに載せる
私がAIを使う原点も、ここにあります。消防で30年、立入検査で見てきた「災害は、どこで、どう起きるか」を、一つずつプロンプトに打ち込み、目に見える形にしていく。 すると、AIは平均的な計画ではなく、その施設の条件に合った避難手順や計画を返すようになります。
福祉のBCPで、もう一つ欠かせないのが感染症です。ここは、経験だけでは足りません。当事務所には看護師・保健師が在籍しており、感染症のBCPは、この医療・公衆衛生の視点を入れて組み立てます。 「職員が同時に何人か倒れたとき、どの支援を先に回すか」という人員の優先順位は、ひな形の空欄を埋めるだけでは書けない部分です。こうして経験と専門性を載せたAIは、使うほどにその事業所へ合っていく——一緒に育っていくパートナーになります。
だから、御施設のBCP・避難計画はどう変わるか
ここまでを、事業の損得に翻訳します。AIに任せきりの「平均的なBCP」は、一見、手軽です。でも、それは“提出のための計画”にしかなりません。いざというとき動かなければ、失うのは報酬だけでなく、利用者やご家族からの信頼、職員の安全、そして事業の継続そのものです。
一方、経験を載せて育てたBCPは、本番で動きます。 同じAIを使うのに、中身は正反対になる。同じ手間をかけるなら、”提出のための計画”ではなく、”本当に動く計画”に変えたほうがいい。AIは、その手間を軽くする道具であり、経験は、それを動くものにする中身です。
まず、今のBCPを見せてください
「AIやひな形で作ってはみたが、これで動くのか不安」「これから作るが、何から手を付けていいか分からない」——初めてのBCP以外のご相談も歓迎いたします。
当事務所では、お手元のBCPや避難計画を見せていただき、査察30年の視点と、看護師・保健師の視点で、「その施設で本当に動くか」を一緒に点検します。 そのうえで、AIも使いながら、動く計画に整えていきます。無料相談を承っていますので、まずは今の状況を見せてください。
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- BCPの点検だけのスポットご相談も、日ごろから備える継続顧問も、どちらも承っています
- 広島・岩国を拠点に、オンライン顧問で全国対応しています
AIは、防災の面倒な部分を軽くしてくれます。けれど、その答えを疑い、御施設の現場に合わせて仕上げるところは、経験のある人間の仕事です。そこを、一緒にやりましょう。
※本記事は一般的な情報提供です。BCP・運営指導の具体的な要件・様式・確認の重点は、年度の報酬改定や自治体により異なります。個別の対応は所轄への確認のうえ進めます。
